デビルかフラワーか、失敗する背中を息子に見せる
失敗が恥ずかしい?
土曜日、駄菓子屋へ行く前に、息子と公園へ行き、一緒に縄跳びの練習をした。
最終的には、記録を13回まで伸ばすことに成功した。
そのことを書きたいと思う。
息子は、失敗を恐れ、失敗するとすぐにくじけてしまう。
失敗するのが恥ずかしいともいう。
失敗が恥ずかしいなんてとんでもないことだ。
挑戦するから失敗するのだ。
挑戦することが難しければ難しいほどたくさん失敗するのだ。
失敗とは勇者の証だ。
しかし、そんなことは、口で言っても通じない。
そこで、パパ自身が難しい技に挑戦して失敗しながら上達するところを見せることにした。
失敗する背中を見せる
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
かつて山本五十六はそう言ったそうだ。
縄跳びについてはもうすでに何度も跳ぶところを見せている。
しかし、息子からすれば、パパははじめからできることをやっているだけだ。
具体的に縄跳びがどうとかではなく、
出来ないことを失敗を繰り返しながらできるところを見せる必要がある。
そこで、持ち出したのが、デビルだ。
この形状からフラワーだという人もいるかもしれない。
大昔に友人が作っていたのをまねて作り、大人になってからも時々遊んでいた道具。
昔大分やりこんだので、基本的な動作は問題なくできる。
しかし、大技を習得する前に辞めてしまっていたのだ。
下に得物の写真を貼ろう。
デビルスティックとは?
デビルスティックとは、写真中の黒い棒(センタースティックという。)を、左右の手に持った二本の棒で叩き、地面に落とさないようにするジャグリングの一種だ。
慣れた人がやれば、センタースティックは自在に宙を舞い、あたかも悪魔がとりついたかのように動く。
若かりし頃、公園で練習をしているとき、通りかかったカップルのうち男性の方が、連れの女性にむかって「あれは磁石が入っているんだ。」と得意げに説明していたが、この棒はホームセンターで買った丸い棒に重りのゴムとテニスのグリップを巻き付けただけのものだ。
そして、左右の手に持つ棒は、シリコンチューブに同じく丸い木の棒を差し込んだだけのもの。それこそ昔は、左右の棒についてもテニスのグリップを巻いていたが、何度かの研究と試作の結果シリコンチューブを巻くのが最適だとわかったのだ。
使い古され、しかもめったに使わないため、センタースティックに巻かれたグリップは劣化し、扱いにくいデビルスティックになっているが、失敗する背中を見せるには、それくらいの方がちょうどいい。
特訓
まずは、息子が縄跳びの特訓をした。
何度か失敗をすると、へなへなと座り込んだり、休憩に入ってしまう。
そうすると、今度はパパの出番だ。
劣化したグリップは思いのほか摩擦が利かずに滑ってしまう。
下手をすると基本動作すらもままならなかった。
何度もセンタースティックを地面に落としながらも、何度も何度も練習をする。
そのうち、息子が元気になってくると、選手を交代して息子が縄跳びを始める。
息子はうまくいきそうだと感じると、動画の撮影を求める。
パパは喜んで息子の動画を取る。
そして、失敗すると「消して!」といって次の挑戦へ移る。
3秒程度の短い動画がたくさん残されるわけだが、そんなのは構わない。
二人で交代しながら何度か練習をしていると、徐々に息子の縄跳びも安定しはじめ、パパのデビルも宙を舞うようになってきた。
こうなってくると練習は苦痛ではなく快楽だ。
基本動作から、センタースティックを二回転、センタースティックを高く飛ばしたり、足の下をくぐらせたり、ヘリコプタータップ(センタースティックを水平方向に回転させ、手に持ったスティック1本でその回転を維持する。)、片手でセンタスティックを2回横回転させ、重量によって落ちるところを下から支えながらもうひと回転加えたり。
中国武術に推手という練習方法があると漫画(拳児)で読んだことがあるが、それに近いイメージだ。
推手では、相手と手を合わせて押したり引いたりするが、デビルスティックの場合、相手は地球の重力や回転モーメントになる。
いわば、法則と戯れているわけだ。
相対性理論で有名なアインシュタインはバイオリンを弾きながら考え事をしたというが、パパにとってはデビルスティックがそれにあたる。
地球との語らい、物理法則、回転モーメントとの語らいは至福のときでもあった。
そして、最終的に息子は縄跳びを13回跳び、パパもそこそこ勘を取り戻してきた。
かつて友人が得意としていた大技は、未だできていないが、また今度息子が縄跳びを練習するときに一緒に特訓することにしよう。
もし、デビルスティックやフラワースティックに興味を持たれた方がいたら、自作することをお勧めしますが、自作の手間を省きたい場合はアマゾンでも扱っているようです。